1 現在の法律では、遺言書の全文を自分で手書きして押印しなければならない自筆証書遺言ですが、加除訂正にも厳しいルールがあります。間違えたからといって、二重線を引くだけで済むわけではありません。
2 手順としては、①遺言者が変更箇所を指示して、②そこに変更した旨を付記して、③特別にそこに署名し、④さらに変更箇所に押印しなければなりません(民法968条2項)。他人による変造を防止するために、このような厳しいルールが設けられています。
たとえば、訂正した行の余白に、「本行について△△を◆◆と変更した」などと記載したうえで、それに続けて署名し、元の記載部分に押印するというような形です。かえって、一般的な訂正方法である二重線を引くことは条文上求められていません(二重線を引いても問題ありませんが)。
なお、他の例として、加筆する場合には「本行の△△と◆◆の間に◎◎を挿入した」などと記載し、それに続けて署名して、元の記載部分に押印することになるでしょう。削除する場合には「本行の△△を削除した」などと記載し、それに続けて署名して、元の記載部分に押印することになるでしょう。
3 遺言書の余白が細かい文字であふれて汚くなってしまうのが嫌だという場合には、イチから書き直すのがよいと思います。